一般的な睡眠時間について、1日におおよそ8時間眠るサイクルで生活しています。それはつまり人生の約1/3は眠っていることになります。
睡眠は昼間の活動で疲れた体と脳を休息させるための、とても重要とされており、じゅうぶんに睡眠がとれない状態が続くと、さまざまな悪影響を及ぼすようになります。
とくに睡眠中に呼吸が止まるような事態が繰り返されると、体に取り込まれる酸素の量が少なくなり、さまざまな臓器に障害をもたらし、日中眠くなり活動が低下するなど、社会生活にも影響を及ぼすようになります。
あわせて肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症など、生活習慣病を合併するケースが多くなるといわれております。
睡眠を妨げる要因のひとつとして最近注目されている病気に、睡眠時無呼吸症候群があります。文字どおり、眠っているときに無呼吸状態になる病気で、SAS (Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれています。
無呼吸状態とは、呼吸が10秒以上止まっていることを指し、その状態が7時間に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あると睡眠時無呼吸症候群(SAS)となります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症するおもな原因には以下のようなものがあります。
SASは太った人に多い病気と思われがちですが、日本人など東アジア系の人種ではアゴが小さいなどの顔の特徴から、やせていてもSASにかかる人が多くみられます。太っていないからと関係ないと判断するのは禁物です。
また狭心症などの虚血性心疾患や心不全、肺の病気などにかかっていると、SASを悪化させるケースがあるといわれております。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)にかかると、じゅうぶんに眠れないことが原因となってさまざまな症状が現れるようになります。
以下のような症状に心当たりありませんか?
上記の項目は、いずれも睡眠時無呼吸症候群(SAS)によく見られる症状、ひとつでも心当たりがある場合は眠気の評価『ESS』にてセルフチェックで確認しましょう。
日中の過度の眠気や睡眠中に大きなイビキを指摘されたなどの症状で、外来を受診した場合、簡単な問診を行います。
代表的なものに『ESS眠気テスト』があります。その他睡眠障害に関する生活習慣病等の診察を行って、そして睡眠呼吸障害の検査の必要性を認めた場合、簡易型検査装置によるスクリーニング検査を行います。
本検査は、鼻口気流、気管音、SpO2を記録するものですが、呼吸運動や体動、心電図など測定できる項目が多い装置もございます。
簡易型検査装置でSASである可能性が高いと判断された場合、さらに詳しい検査、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行い、睡眠中の低酸素状態や脳波による覚醒状態、鼻口気流の途絶・再開、胸腹部の呼吸運動などからSASの状態を判定します。